もしコロナに感染したら?個人がとるべき行動と経営者が想定しておくべきこと




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新型コロナウィルスの第3波の影響が大きく、いつ自分の身に降りかかってもおかしくない状況です。私の周りでは感染者が出ていなかったのですが、つい先日お客様がコロナに感染して自宅療養していたと連絡がありました。1年以上お会いしていない顧問先でしたが、その方から色々な情報をいただくことができて、私自身も考えさせられる事があり記事にさせていただきました。

知っておくべきこと

コロナに感染してしまった場合、回復して何事もなく復帰できるのならば、結果的に風邪にかかることと変わらないかもしれません。コロナの場合は以下のとおり、絶対的な違いがあります。

  • 重症化のリスクと症状の危険度が圧倒的に高い。
  • 後遺症が残る場合、通常生活において大きな支障が生じてしまう。
  • 感染力が高く、近しい人や大切な関係者に迷惑をかけてしまう恐れがある。
  • 未知の部分があり、恐怖や嫌悪の対象になりやすい。
  • 上記の特徴から、風評被害や嫌がらせを受けるリスクがある。

対策を検討すべきこと

  • 感染予防対策
  • 感染が疑われる場合の対応
  • 感染した場合の対応
  • 第三者への対応
  • 回復後の対応

タイミングごとに対応策を決めておく

  1. 平常時
  2. コロナ感染が疑わしい段階
  3. コロナの陽性が確認できた段階
  4. 自宅療養中など隔離段階
  5. 回復して復帰する段階
  6. 平常に戻った段階

それでは、それぞれの段階で、具体的な対策例を紹介させていただきます。

1.平常時

平常時は感染対策として手洗い、消毒、ソーシャルディスタンス、接触機会を減らすなどの対策を講じてルール化しておくことが理想です。特に気を付けるべきは、これらを守るための職場の雰囲気作りと意識付けの方も力を入れるべきです。よく見かける残念なケースと対策例を紹介させていただきます。

ケース1
マスクをしてくれない人に注意をすると、『自分はかからないから大丈夫』と言われる。
 この場合、見かける度に上司から注意をしてもらう事と、普段から経営者がルールの徹底を指示して率先して守ることが必要です。

ケース2
テレワークを実施しているのに、出社することへの美学のような雰囲気があったり、自宅作業での効率が悪い事を理由に出社する人が減らない。
 この場合、在宅勤務に必要な設備や環境を検討して用意する必要があります。効率よくテレワークを実施するコツとしては、職場全体の作業を分類して、場所を選ばない業務の流れを組み立てることです。また、設備やシステムを導入することで、場所を選ばない業務を広げたり効率化できるものがあれば検討するべきです。

できれば、経営者から在宅勤務奨励を定期的に指示することと、出社が当然という空気を無くしていく事も重要です。さらに、効率よく在宅勤務をできている人への評価システムの導入もオススメです。ソーシャルディスタンスについては、事務所のデスク配置や設備の関係で物理的な限界があるかもしれません。それでも、できる限りは対面を避けて距離をとれる配置換えを行い、飛沫防止対策のグッズも導入するとよいと思います。

上記の配置換えに加え、時差出勤とシフト制をオススメします。同じ時間帯の人数を減らす事が期待できます。極端な例ですが、365日24時間好きな勤務時間で選べる事を従業員に伝えれば、通常は会社休日や時間外となる区間での出勤を望む人もいるかもしれません。
超フレックス制度とも言えるこのやり方は、社員の退職リスクを軽減する効果も期待できます。通勤距離や勤務時間の拘束が退職理由の一因となることは少なくありません。また、多様な働き方が認められていればワークライフバランスの実現にも繋がり、人材の流出防止に効果的です。

さらに、副業を認めることで金銭的な理由での退職を回避できる可能性も高くなります。※注意点は労働基準法関係の縛りと勤務状況の把握を考慮する必要があります。
 また、副業を認めるにしても申請許可制にして、禁止業種を定めたり無制限での副業を抑止することで、本業の手抜きを回避できます。最後にもしコロナに感染した場合を想定してルールを定めておく必要があります。コロナ感染が疑われる場合には、上司に報告のうえ自主的に休める体制であることを周知徹底しておく。また、感染者が出た場合に会社がどのように対応していくかも定めて、必要な内容を従業員に指示しておく必要があります。

事前に定めておくべきマニュアル

  • どのような症状であっても体調不良がある場合は、積極的に休むことを推奨しておく。
     コロナに感染することは恐ろしいことですが、経営者として警戒すべきは感染が広がって会社の機能が停止または低下することだからです。もしも、その感染状況と対応が取引先に知られてしまえば、敬遠されたり最悪の場合は取引停止という事態も想定されます。最悪の場合、第三者が誇張した情報を流して風評被害にあったり、嫌がらせを受ける事態も招きかねません。
  • 出社制限の内容と復帰の基準を定める。
     普段のように、軽い風邪症状くらいはOKという判断は危険です。発熱や倦怠感などある場合は、在宅勤務に切り替えるための仕組みづくりも必要です。
  • 数日間は感染した人以外のメンバーで業務を回せる体制を準備しておく
     急遽欠勤者が出ても、スムーズに引き継ぎができるように打ち合わせをしておくこと。万が一に備えて業務を外注できる信用できる取引先を確保しておくことも有効です。
  • 初期段階で報告すべき内容を決めておく。
     社内や取引先での濃厚接触の可能性がある人の情報、予想感染日時、現在の症状と経過、業務で引き継ぐべき内容など。
  • 一日一回以上の報告、体調とできれば引き継ぎ業務の調整。
  • 社内に感染した者がいる情報を伝えるべき相手を状況に応じて検討する。
  • 感染に関して原則他言無用である意識付け。
     これは、療養中はもちろん回復後もできる限り伏せておく事が無難だが、必要に応じて伝える必要が生じる可能性も考慮しておく。
  • 出社制限に対して、手当の有無、欠勤または特別休暇などの扱い。
  • コロナに感染した人に対して、心無い言動をしないような考え方を共有しておく。

2.感染が疑われる場合や、感染者との濃厚接触があった場合。

  • 上司への報告
    感染の疑いがある場合は上司に報告する事を、平常時から社内で認識しておく。感染経路などのうち、報告しづらい内容や状況もあり得るので、掘り下げて問い詰めることが無いようにしておく。例えば報告様式を定めて、感染日時・濃厚接触の疑いがある社内および取引先の人物・現在の症状・引き継を要する業務に限定して報告するルールにしておくと無難です。
  • コロナ陽性だった場合に備えて会社の体制を確認しておく
    コロナ感染者が出た場合に、濃厚接触から回復・復帰までの想定をして対応策を決めておくべきです。その内容は、感染者に対するサポートや手当、業務の引き継ぎと調整、関係者に対する対応などです。
  • 他言禁止
    コロナ感染や濃厚接触の情報は、積極的に発信するべきではありません。どういう形で不利益を被るか計り知れないからです。反対に、感染対策や業務上の面で迷惑をかけないように、報告をしなければならない相手もあると思います。状況に応じて慎重な対応をするようにしてください。
  • 出社制限
    感染が疑われた時点から、できる限り自宅待機とすることが理想です。普段から、コロナ感染の疑いがある時点で出社をしない事と、休んで良い雰囲気であることを会社全体に周知しておくようにしてください。雇われる側は休むことに対して引け目を感じるのが普通です。コロナに関してはこの考えは致命的であることを共有しておくべきです。
  • PCR検査
    コロナの疑いがあるだけでは病院の診察でPCR検査を受けられるとは限りません。何人かの知人から聞いた話では、本人が受けたくても検査してもらえなかったそうです。まずは市販の検査キットでも構わないので、コロナの感染を確認するべきです。この結果陽性であれば直ちに保健所に相談し、陰性であれば、濃厚接触から10日は在宅勤務に切り替えて様子をみる方向で調整してください。できれば検査キットを会社に常備しておくと、費用を理由に検査をしなかったり、自主検査をしても結果を報告しなかったりを回避することが期待できます。
  • 保健所へ連絡
    感染が疑われる場合は保健所へ連絡してください。状況に合わせた対応を聞けたり、有益な情報を聞けたりするからです。また、保健所の指示でPCR検査を受ける場合は費用がかからないそうです。※自治体によって異なる可能性あり

3.コロナの陽性が確認された段階

  • 上司への報告 → 前述の内容と同様です
  • 他言禁止   → 前述の内容と同様です
  • 出社禁止
    コロナに感染した場合は、保健所の指示に従い自宅隔離または施設隔離になるので、間違っても出社しないように本人と会社で共有認識してください。できれば、この欠勤期間に対する手当や見舞金の支給は考慮してください。※労働基準法の関係で回避できないケースもあるかもしれません。
  • 自主隔離の場合はその準備
    自主隔離の場合に、保健所や役所からの食料や生活必需品の配給が無いことが想定されます。また、コロナに感染した場合、倦怠感や無気力の状態になることがあるそうです。隔離が始まった時点で、自宅に7日分程度の食料や日用品のストックがあるかを確認して、状況に応じて会社で用意して発送することも検討してください。
  • 業務引き継ぎと、人員不足への備え。
    平常時から業務を引き継げる状況を整備し、人員不足に備えて外注先を探しておくなど備えるようにしてください。業務の引き継ぎに関しては、業務効率化の延長と捉えて取り組むと効果的です。例えば、第三者にも把握できる業務システムや相棒制度の導入など、色々な角度で検討するとよいと思います。

4.自宅療養中など隔離段階

  • 出社禁止 → 前述の内容と同様です
  • 外出禁止 → 前述の内容と同様です
  • 他言禁止 → 前述の内容と同様です
  • 会社への定時連絡を毎日おこなう
    本人からの体調報告と引き継いだ業務の調整などが主な目的となります。できれば、コロナへの不安や欠勤の心配など、本人の心のケアも並行してできるとよいと思います。
  • 自宅療養のフォロー
    外出できなかったり、本人が無気力で何もできない状況も想定されます。できれば食料品や日用品など、自宅療養に必要なものを調達して発送するなどができるとよいと思います。

5.回復して業務に復帰する段階

  • 体調面で無理をしない
    回復しても本調子でなかったり、本人が気づかない体力低下があるかもしれません。業務に復帰してからしばらくは無理をさせないようにしてください。本人からは言い出しにくい状況もあるかもしれないので、回りが気にして様子を見るようにしたいです。
  • 経過をフォローできる体制を準備
    復帰後すぐに以前通りの仕事を期待せず、徐々に本調子に戻していくようにしてください。
  • 他言禁止 → 前述の内容と同様です
  • 業務の引継ぎ戻し
    自宅療養の間に引き継いだ業務を、本人に戻していく必要があります。本人に戻さなくても完了できる業務は引き継いだままにして、将来に向けて本人が担当すべき業務を戻していく形が理想です。

6.平常に戻った段階

  • 他言禁止
    回復して問題が無くなったからといって、感染があったことを外部に知られることは好ましくありません。ほんの雑談のネタのつもりが、回りまわって間違って伝わることも想定されます。その結果、本人が望まない噂が流れたり、会社のイメージが悪くなる情報が出回ったり、見当違いの嫌がらせを受けるリスクがあるからです。
  • 感染を伝えていた関係先への報告
    感染者が出たことを知らせる必要があり伝えていた関係先へ、本人が回復し会社の体制も元に戻り問題が無くなった旨の報告と、迷惑をかけたことに対する謝意を伝えるようにしてください。
  • コロナ対策の見直し
    今回の経験をもとに、感染以前から回復するまでの対応で見直しが必要と感じたものを改善する。

まとめ

コロナ対策は会社にとっても、従業員にとっても非常に重要です。万が一の場合でも業務が滞ることがないように、従業員の健康と生活のために、関係先に迷惑をかけないように、といった具体に対策を練ることが会社を守ることに繋がります。予防に始まり、感染が疑われる段階から回復し、通常業務に戻るまでを想定した対策を検討するようにしてください。

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