最大250万円『事業復活支援金』の難しい内容を簡単わかりやすく解説!
新たな給付金である『事業復活支援金』の支給が発表されましたね。いつから申請ができるのか?いくら支給されるのか?自分は該当するのか?など内容が気になるところだと思います。とても有難い給付金制度ですが、正直なところパンフレットやホームページがわかりにく過ぎるという声を多く聞きます。
本記事では、このわかりにくい『事業復活支援金』を簡単にわかりやすく説明します。実は経済産業省が用意したパンフレットやホームページはとてもよくできています。それでも筆者のもとには、これから申請をしようとする方からの『わかりにくい』というお問い合わせが多く寄せられている印象です。その理由は、『事業復活支援金』の制度をしっかり説明するために、情報量が多くなりすぎているというオチです。
例えば、一時支援金・月次支援を受給完了している場合に簡易申請ができるのですが、この説明だけでかなりのボリュームとなっています。申請の簡略化を選択するために、その概要の理解と確認に相当の手間を要するいう本末転倒なことになっていて、残念なポイントが多く盛り込まれたパンフレットになっています。
この記事では、『事業復活支援金』できる限り簡単にわかりやすく解説をさせていただきます。そのうえで、最も重要なポイントとして簡潔におさえていきたいと思います。
目次
- 事業復活支援金はいつから申請できる?
- 事業復活支援金の申請期限はいつまで?
- 事業復活支援金でいくら支給される?
- 事業復活支援金の条件や要件は?
- 事業復活支援金の申請に必要な書類
- 事業復活支援金の申請手順
- 見逃せない情報・注意点
1.事業復活支援金はいつから申請できる?
事業復活支援金はズバリ…
1月31日から申請できます!
ひとつ注意点は、売上減少の判定に使う月が2月または3月の場合は次のとおりになります。まだ売上が確定していないので、下記のタイミングまでは判定できないということですね。
・2月の売上を30%以上減少の基準月とする場合 ⇒ 3月~
・3月の売上を30%以上減少の基準月とする場合 ⇒ 4月~
2.事業復活支援金の申請は期限はいつまで?
事業復活支援金の申請は5月31日まで
おそらく他の給付金でもそうでしたが、申請さえ期限に間に合っていれば、不備や訂正の再申請はその後も可能であることが予想されます。ただし、確実に受給するためにも余裕をもって期限までに受給を完了できるように申請するようにしてください。
3.結局のところ事業復活支援金でいくら支給される?
事業復活支援金の給付される支給上限額は、売上の金額とコロナ前からの売上減少率で違ってきます。下記の表でご自身が該当する事業区分での金額をご確認ください。
支給上限額の確認表
事業者区分 | 支給上限額 |
個人事業者 | |
売上減少30%~50% | 30万円 |
売上減少50%以上 | 50万円 |
法人で年間売上が1億円以下 | |
売上減少30%~50% | 60万円 |
売上減少50%以上 | 100万円 |
法人で年間売上が1億円超~5億円 | |
売上減少30%~50% | 90万円 |
売上減少50%以上 | 150万円 |
法人で年間売上が1億円超~5億円 | |
売上減少30%~50% | 150万円 |
売上減少50%以上 | 250万円 |
実際の給付額の計算
それでは、実際の受給額の計算方法を説明します。これが本当にややこしいです。正直わかりにく過ぎる印象をもたれる原因のひとつになっています。
新型コロナの影響で、
2021年11月~2022年3月のいずれかの月(対象月という)の売上高が
2018年11月~2021年3月の間の任意の同じ月(基準月という)の売上高
と比較して30%以上減少している場合に次の算式で求める
対象月の属する事業年度の年間売上高 - 基準月の売上高 × 5 = 事業復活支援金額 ※別途上限あり
※事業復活支援金額の別途上限とは
事業復活支援金額は、対象月が属する事業年度の年間売上高と基準月の売上減少割合をもとに、前述の支給上限額の確認表で該当する金額が給付上限となります。
中小企業最大250万円、個人事業者最大50万円という謳い文句はこの上限額がもとになっているのですが、殆どの中小企業は100万円が上限になると思います。筆者の顧問先では、該当する事業者のうち9割以上は100万円の上限に該当していました。
参考までに…受給額の目安を自動計算するフォームを作成してみたので、よろしければお試しください。
⇒ 受給額の目安自動計算フォームのページ
注意点
事業復活支援金の申請で、一番注意すべき事が給付金の判定です。対象月または基準月の選択を誤ると給付額が少なくなる恐れがあります。申請の前に、給付額が最大であるかを念入りに確認するようにしてください。チェックするポイントは下記のとおりです
- 給付額が上限額になっていない場合は、念のために違う月を基準月としたり、違う年度を対象月としたりして再計算してみてください。あるいは、2月または3月の売上確定まで待って判定することも検討してください。
- 給付上限額があっているかを確認してください。対象月が違うだけで上限額が違う可能性があります。
- できる限り給付金額を多い可能性を検証してください。売上減少が50%の基準月より、30%の基準月を選択する方が給付額が高いパターンもあり得ます。
4.事業復活支援金の条件や要件は?
事業復活支援金の対象となる要件や条件は下記のすべてに該当する事業者になるのですが、一言でいえば『コロナの影響で対象月の売上が30%以上減少した全事業者』となります。これまでの給付金や支援金よりも条件が緩和されて受給しやすくなった印象です。
- 要件1
新型コロナの影響で、2021年11月~2022年3月のいずれかの月の売上高が、2018年11月~2021年3月の間の任意の同じ月の売上高と比較して30%以上減少した事業者
※減少率が50%以上の場合は、給付上限額が高くなります。(前述3を参照) - 要件2
事業者であること
(中小法人や企業、フリーランスを含む個人事業主)
※業種や地域は不問
では、要件1の新型コロナの影響の判断は下記を参考にしてください。
受給の減少による影響
- 国や地方自治体による、自社への休業・時短営業やイベント等の延期・中止その他のコロナ対策の要請に伴う、自らの財・サービスの個人消費の機会の減少
- 国や地方自治体による要請以外で、コロナ禍を理由として顧客・取引先が行う休業・時短営業やイベント等の延期・中止に伴う、自らの財・サービスの個人消費の機会の減少
- 消費者の外出・移動の自粛や、新しい生活様式への移行に伴う、自らの財・サービスの個人需要の減少
- 海外の都市封鎖その他のコロナ関連規制に伴う、自らの財・サービスの海外現地需要の減少
- コロナ関連の渡航制限等による海外渡航者や訪日渡航者の減少に伴う、自らの財・サービスの個人消費機会の減少
- 顧客・取引先※が上記1~5又は下記1~3のいずれかの影響を受けたことに伴う、自らの財・サービスへの発注の減少※ 顧客・取引先には他社を介在した間接的な顧客・取引先を含む
供給の制限による影響
- コロナ禍を理由とした供給減少や流通制限に伴う、自らの財・サービスの提供に業務上不可欠な財・サービスの調達難
- 国や地方自治体による休業・時短営業やイベント等の延期・中止その他のコロナ対策の要請に伴う、自らの財・サービスの提供に業務上不可欠な取引や商談機会の制約
- 国や地方自治体による就業に関するコロナ対策の要請に伴う、自らの財・サービスの提供に業務上不可欠な就業者の就業制約
要注意点
売上の減少が、下記の理由による場合は新型コロナウィルスの影響による売上減少に該当しません!
- 販売や契約などの取引時期を調整することによって意図的に減少させた場合
- 国や県などの要請と無関係に、自主的に休業・時短・営業自粛をした場合
- 対象月の売上がたまたま減少した場合
- 基準月となる過去の売上がたまたま大きかった場合
少しわかりにくい場合もあると思いますが、新型コロナウィルスの影響により何かしらの制限を受けた場合は該当する可能性が高いと思います。自己判断するには不安な場合は、事業復活支援金の事務局の相談窓口を利用するようにしてください。
事業復活支援金 事務局コールセンター
0120-789-140(IP電話からは 03-6834-7593)
土日祝日含む 8時30分~19時00分
5.事業復活支援金の申請に必要な書類
- 確定申告書
- 対象月の売上に係る帳簿
- 履歴事項全部証明書 ※個人事業は本人確認書類
- 通帳
- 宣誓・同意書(ひな形あり)
- (基準月の売上に係る帳簿
- (基準月の売上に係る請求書・領収書等のサンプル)
- (基準月の売上を確認できる通帳等)
注意点
各書類ごとに細かい注意点があるので、以下にまとめました。基本的に月次支援金と同じ要領で用意する形で問題ないと思います。
- 1~5の書類は全申請者必須
- 6~8の書類は、一時支援金または月次支援金の受給歴がなく、登録確認期間との継続的取引がない申請者のみ必要。
- 必要となる確定申告書は、選択した基準月を含む事業年度から対象月を含む事業年度の前事業年度までの各事業年度のもの。
- 通帳は振込先が確認できるページが必要なので、表紙および次のページの口座情報と名義人情報が記載された部分になると思われます。
- 8の基準月の売上が現金売上など通帳で確認できない場合は、事務局が用意した説明書(理由書という)を提出する形になります。
事業復活支援金の申請の流れ
事業復活支援機の申請は、おおむね下記の流れとなるようです。月次支援金の受給歴がある事業者の方は、事前確認や入力など免除される手続きがあるようなので給付金判定と必要書類に注意すれば難しいことはないと思います。一方、今回が初申請の方にとっては、少し面倒な手続きとなる恐れがあります。
月次支援金の受給歴がある事業者の方の申請フロー
- 月次支援金のマーページにログイン ※事業復活支援金も同一ページから申請できるようです
- 申請者情報や売上情報などの入力
- 必要書類1~5の添付
- 申請完了(不備があれば要対応)
- 事務局から事業復活支援金の振込(申請または不備解消から2週間前後)
※月次支援金の申請時の一定情報は反映されているので、入力項目は省略できます。
※一定条件を満たした場合は、簡易申請を選択できるため、より申請が省略できます。
月次支援金の受給歴が無い事業者の方の申請フロー
- 事業復活支援金ホームページで申請IDを発行する
- 上記ホームページで4の事前確認のために登録確認機関を探して予約をとる
- 事前確認に必要な書類と情報を準備する ※事前確認の内容参照
- 登録確認機関で事前確認を受ける
- 月次支援金のマーページにログイン
- 申請者情報や売上情報などの入力
- 必要書類1~5の添付 ※一定の場合は1~8
- 月次支援金のマーページにログイン
- 申請者情報や売上情報などの入力
- 必要書類1~5の添付
- 申請完了(不備があれば要対応)
- 事務局から事業復活支援金の振込(申請または不備解消から2週間前後)
事前確認の内容とは
- 事業形態、申請ID、電話番号、法人番号及び法人名、氏名及び生年月日(個人事業者等の場合)の確認
- 継続支援関係の有無の確認
- 実施方法、確認の種別(一部確認・全部確認)、事前確認の対価(報酬)の確認
- 本人確認
- 確定申告書の控え、帳簿書類、通帳の有無
※1 書類が存在しない場合、その理由について確認 - 帳簿書類及び通帳のサンプルチェック
※基準月及び登録確認機関が任意に選んだ年月における取引の確認 - コロナの影響による売上減少について聴取及び該当項目の確認
- 宣誓・同意事項等を正しく理解しているかについて口頭で確認
- 登録確認機関が事前確認通知番号
7.見逃せない情報および注意点
- その1 差額給付申請という救済手続きができる可能性あります!
30%以上50%未満の売上高減少で事業復活支援金の給付を受けた方であって、申請を行った月より後の対象期間内の月で、新型コロナウイルス感染症の影響を受けて、申請時には予見できなかった50%以上の売上高減少が生じ、給付算定額がより高くなる方に対して、差額分を給付する追加申請を可能とする予定とのことです
※予定としているので、実施されない可能性あるので要注意です! - その2 不正受給にはきついペナルティがあります!
ペナルティの詳細は公表されていませんが、売上の減少が新型コロナウィルスの影響でない場合や、意図的に操作・調整することは絶対に許されません! - その3 都道府県から追加給付や救済制度が後発されれる可能性もあります!
月次支援金の際には、都道府県から上乗せとなる追加給付や、給付対象にならなかった事業者への救済的な給付がありました。今回の事業復活支援金でも発表される可能性がありますので、こまめに情報収集するようにしましょう。
※あくまで可能性の話なので、実施されたらラッキーくらいで捉えましょう。このブログでも追跡調査して、良い話があれば記事にして紹介させていただきます!
事業復活支援金の各種情報など
事業復活支援金 事務局コールセンター
0120-789-140(IP電話からは 03-6834-7593)
土日祝日含む 8時30分~19時00分
経済産業省『事業復活支援金』ホームページ ⇒ 事業復活支援金のHPはこちら
まとめ
新たな給付金『事業復活支援金』は、これまでの月次支援金と比較して、要件に該当する事業者の方は多いと予想されます。確実に受給できるように、申請の際は要件をよく確認するようにしてください。特に受給金額の判定次第で給付金が変わってくるので要注意です。
また、申請に関して言うと、月次支援金の受給歴がある事業者の方は手続きが簡略化されています。反対に、今回初申請の方にとっては手続きも必要書類も面倒な手続きかもしれません。それでも、一般的な補助金や助成金と比べれば難易度や手間などのハードルは低いので、諦めずに申請するようにしてください。
最後に筆者の考えをお伝えします。事業復活支援金の申請は自力で申請することを推奨しています。ご自身で申請することが十分可能な手続きに対して、手数料を払うのがもったいないと思うからです。まずは、自力で申請にチャレンジしたうえで、時間的に余裕がなかったり、手間がかかり過ぎると判断した時は、信用できる人にお手伝いをお願いしましょう。諦めるくらいならば、手数料を払ってでも給付を受ける方が何かの足しになるのは間違いないからです。