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‘’コロナ対策関連‘’ 持続化給付金の申請の方法から、その他の資金対策をまとめます。~後編~

 4月28日に『持続化給付金』の案内が経済産業省から公表されました。その概要を簡潔にまとめています。申請をするためのホームページを前編で案内しておりますので、併せてご利用いただければと思います。

 また、現段階で利用できる制度も、おおまかに説明していますので、最後まで読んで、活用していただけると幸いです。

 経営の対策として利用できる制度は、主に下記のとおりです。

  1. 給付金
    持続化給付金(売上激減に対する給付金)
    感染拡大防止協力金(東京都の休業要請に対する協力金)
  2. 資金繰(無担保、無利息での借り入れ)
    日本政策金融公庫の緊急融資
    セーフティーネットによる銀行借入
  3. 雇用対策(給料の支払いが厳しくなる場合の対策)
  4. テレワーク関連の助成金

1.給付金と2.資金繰りは前編で解説しています → 前編へ

雇用調整助成金

経営環境が悪化したときに、事業主が従業員の雇用を維持するために活用できる助成金のひとつ。

要件

  • コロナの影響で、直近の月売上が、前年同月と比較して5%以上減少している。
  • 従業員を休ませて、給料を支給すること。
    年次有給とは別に有給休暇さを付与して休ませる場合もOK)
  • 休業について、雇用主と従業員の間で協議し、書面を作成する。
  • 雇用保険に加入している事業所であること

雇用調整助成金のメリット

  • 従業員は、給料を受け取ることができる。
  • 従業員の退職を回避できる
  • 事業主は、給料支払いの負担が軽減できる。

助成額

休ませた従業員1人あたり、1日につき8,330円を上限として、給料支給額の90%の助成金を受け取ることができる。
(大企業は75% ※通常時は中小企業が80%、大企業が約66%)

手続きの流れ

  1. 休業の計画を作成し、労使協定をする。
  2. 休業計画書を提出する
  3. 従業員を休ませる
  4. 支給申請をする
  5. 労働局の審査
  6. 支給決定

※上記の休業とは、従業員を休ませることであり、事業を休業することではありません。

管轄および書類提出先

事務所の所在地を管轄するハローワークまたは労働局

注意点

雇用調整助成金は、下記の点に注意する必要があります。可能ならば、専門家である社会保険労務士への委託が望ましいといえます。

  • 手続と書類作成に手間がかかる
  • 提出書類が多い
  • 支給決定までに時間がかかる
  • 審査の結果、支給されない場合もある

また、4月の報道の情報によると、窓口での相談件数に対して実際に申請した件数が2%未満で、申請された件数のうち支給に至ったケースも2%未満と、申請のハードルの高さと、受給の要件の厳しさが感じられます。

今後、この要件が簡略化されるそうなので、検討される方は注目してください。

雇用調整助成金の詳細はこちら → 厚生労働省『雇用調整助成金』簡易ガイドブック

小学校休業等対応助成金

コロナウィルスの影響により小学校等が臨時休校となった場合に、その保護者に有給の休暇をとらせた事業主に対して、支給した給料の全額が助成される。
※この有給は年次有給休暇とは別に付与する必要がある

期間について

対象となる休暇期間 :令和2年2月27日から6月30日
申請期限      :令和2年9月30日まで

助成される金額

休ませた従業員1人あたり、1日につき8,330円を上限として、給料支給額の全額
※従業員に支給する、有給金額は通常の有給休暇と同額支給する必要があり、8,330円を超える有給額となる場合は、超えた額は事業主の負担となります。

各種窓口(小学校休業等対応助成金)

コールセンター : 0120-60-3999 (9:00~21:00 土日・祝日含む)
申請書の提出先 : 学校等休業助成金・支援金受付センター(厚生労働省の委託事業者
助成金の詳細 → 厚生労働省『小学校休業等対応助成金』パンフレット

テレワーク導入関連の助成金

主に下記の4つの助成金があります。各制度によって助成金額や対象設備等が異なりますので、簡潔に説明させていただきます。

  1. 事業継続緊急対策(テレワーク)助成金
  2. はじめてテレワーク(テレワーク導入促進整備補助金
  3. 働き方改革推進支援助成金(テレワークコース)

1.事業継続緊急対策(テレワーク)助成金

中小企業が事業を継続するための、テレワーク導入に必要な機器やソフトウェア等の費用が助成されます。

対象となる費用

  1. パソコン機器等の購入費
  2. 保守委託等の業務委託料
  3. 導入機器等のマニュアル作成等の導入時サポート費
  4. パソコン機器等のリース料
  5. クラウドサービス等ツール利用料

※助成対象となる機器等には指定があります

助成される金額

250万円を上限として、対象設備の導入費用の全額

要件

  • 常時雇用する労働者が2名以上かつ999名以下で、都内に本社または事業所を置く中堅・中小企業等
  • 都が実施する『2020TDM推進プロジェクト』に参加する

申請期間等

申請期間:令和2年3月6日から令和2年5月12日
対象期間:支給決定日以後、令和2年6月30日までに完了する取組が対象

申請書類提出先(郵送のみ)

公益財団法人東京しごと財団 雇用環境整備課 職場環境整備担当係
東京都千代田区西神田3-2-1 住友不動産千代田ファーストビル南館5階
電話番号:03-5211-2397

詳細はこちら → 東京仕事財団『事業継続緊急対策(テレワーク)助成金』

2.はじめてテレワーク(テレワーク導入促進整備補助金)

東京都が実施するテレワーク導入に向けたコンサルティングを受けた企業等に対して、テレワークをトライアルするための環境構築経費および制度整備費が補助される

補助金額

40万円を上限として、補助対象費用の全額。(従業員数によって上限が異なる)

補助対象となる費用

  • テレワークに必要な設備や機器(1つあたり10万円以下のもの)
  • 社内外コミュニケーションツール
  • 業務管理ツール
  • 機器のリース料やソフト利用料の一部
  • テレワーク導入に関する就業規則

要件

  1. 東京都が実施するテレワーク導入に向けたコンサルティングを受ける
  2. 都内に勤務している、6カ月以上の常時雇用者が2人以上999人以下いる。
  3. 就業規則にテレワークに関する規定がない
  4. 東京都が実施する「2020TDM推進プロジェクト」に参加する

補助対象となる費用

支給決定日から3か月以内に完了する取組が対象となります。

詳細はこちら → 東京仕事財団『はじめてテレワーク』

3.働き方改革推進支援助成金(テレワークコース)

詳細はこちら → 厚生労働省『働き方改革推進支援助成金』パンフレット

コロナ対策版はこちら → 『働き方改革推進支援助成金(コロナ版)』

まとめ

テレワーク導入にはメリットもデメリットもがありますが、圧倒的にメリットの方が大きい場合が多いです。また、やり方を工夫して目的を誤らなければ、デメリットを軽減することも可能で、むしろメリットに転じるケースもあります。

テレワーク導入の必要性を感じていない場合でも、一度検討してシミュレーションされるコトを強くおすすめします。思わぬ形で得られるコトや、現状の問題点の解決につながるケースもあるようです。導入が難しい場合でも、テレワークのやり方を、現在の作業に一部でも取り入れるだけで、生産性が向上する可能性は十分にあると思います。

テレワーク導入のメリット

  • 今回のコロナや、東日本大震災のような緊急時のリスク対策になる。
  • 従業員の離職防止やモチベーションの維持に効果が期待できる
  • 設備の導入や体制の強化により、効率や生産性の向上に期待できる。
  • 多様な働き方での求人が可能となり、優秀な人材の獲得方法が広がる。
  • 通勤費や家賃などの費用削減に期待できる。
  • 従業員のワークライフバランスの実現に期待できる

テレワーク導入のデメリット

  • 仕事の進捗や業務の連携など管理体制の整備が求められる
  • 資料の管理や端末のセキュリティ対策に慎重性が求められる
  • 機器やソフトなどの導入費用がかかる
  • 効率が悪くなる面がある
  • 仕事とプライベートの線引きがあいまいになる

給付金や資金繰り関係は前編で解説しています → 前編へ

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