個人の確定申告のやり方とやるべきコト
1.確定申告をしなければいけない人
- 給料以外に収入がある人、または あった人
- 2か所以上の職場や会社から給料を受けている人
- 以下のキーワードに聞き覚えがある人
(自営業、事業、独立、起業、副業、不動産収入、売買収入、業務委託)
事業とは、個人の責任で以下の行為をすることで、見返りを受けることです。
(見返りには、収入を得る、何かを免れる、目的達成など、得をする事が該当)
- モノを売る
- 何かを貸す
- サービスを提供する
- 他人に協力したり、手助けをしたりする
- 依頼を受ける
事業所得の確定申告とは
- その年の1月1日~12月31日までの、事業に関する1年間の集計計算を行う
- 集計するのは、収入から必要経費を差し引いた所得と呼ばれる、いわゆる儲けのようなもの
- 翌年2月16日から3月15日までの期間内に管轄する税務署に申告書を作成して提出する
- 集計により計算される税金を納める
※確定申告などの手続きは、本人か、代理人の税理士のみができます。
無資格の人は、代理人として申告することができませんのでご注意下さい。
開業から確定申告の手続までにやるべき事
- 必要な契約や許認可等の手続きを済ませる
- 管轄の税務署に必要な申請書を提出する
- 事業で使用する通帳を用意する。
- 取引資料を保存する。
- 帳簿を作成する。 (取引を記録したもの)
- 取引資料を整理して集計して決算書を作成する。
- 確定申告書を作成して税務署へ提出する。
- 税金を支払う
確定申告までの流れ
開業から確定申告までにやるべきこと | 期限 | |
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開業届、青色申告承認申請書を税務署に提出する | 開業または事業開始の いずれか早いときから 2ヶ月以内 | |
↓ | ||
取引資料を正しく保存する (領収書、レシート、請求書、契約書、通帳、売上記録) | その年の1/1から12/31 までの 1年分 (保存義務:7年) | |
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上記の取引資料をまとめる | 翌年の1月~2月初旬 頃までを目安に | |
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取引資料を整理・集計して、決算書と申告書を作成 | 該当する申告年度の 分を翌年2/16から3/15 まで を目安に作成 | |
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管轄の税務署に確定申告書を提出 | 提出期限:3月15日 ※遅れるとペナルティが 発生します | |
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税金を銀行または郵便局で支払う ・所得税 … 専用の納付用紙に記入して納付する ・住民税 … お住まいの市区町村より郵送されます | 納付期限 所得税 : 3月15日 住民税 : 年4回 |
確定申告に必要な取引資料(保管資料)
資料名 | 詳細 |
通帳 | 事業などに関係する収入や支払に利用する通帳 できれば、事業専用の通帳を用意して、私的な入出金をせず、個人的な使い方をしないものにしてください。 |
契約書 | 事業に使用または、必要な契約をした場合の契約書 (賃貸、リース、売買、業務委託、雇用契約など) |
必要経費とは | 収入を得るためや、事業を行う上で必要な支出のこと。 |
※重要 | 経費にならないもの ・家族や友達などとの単なる食事や贈答 ・税金のうち住民税、所得税 ・自宅の家賃、水道光熱費等その他プライベート(仕事と関係のないこと)で使った領収証 ・税務署へ事前申請をしていない、身内への給与やアルバイト代 |
仕入 | 販売用の物や情報の購入 |
外注費 | 事業で必要になった第三者への依頼など |
交際費 | ・ 仕事や事業に関係する打合せ ・お客様へのプレゼントなど |
交通費 | 業務に関わる移動にかかる費用 (交通費、ガソリン代等) |
通信費 | ・携帯料金(仕事で使用分のみ) ・切手、葉書、送料 |
消耗品 | 事業で使用する物や事務用品など |
参考 | 事業で使用する資産 は最終的には減価償却費という形で経費になります。 (事務所、車、複合機、応接セットなど) その他収入を上げるため掛かった支出は、基本的に経費になります。 経費とするには、下記の証拠資料の保管することが条件になります。 (領収書、レシート。請求書、契約書、帳簿記録、通帳など) 国民健康保険料、国民年金、生命保険料、医療の領収書は、経費ではありませんが、確定申告で使用しますので保管してください。 生活費や私的部分と経費が一緒になっているような支出は、経費になる部分とそれ以外の家事費部分に、適切な形で案分計算します。 領収証が貰えなかったり、紛失したりして、取引資料を用意できない場合は、出金伝票に記入することで経費にできる場合があります。 |
青色申告と白色申告の比較
青色申告は有利で、絶対的にオススメです。
白色申告 | 青色申告 | |
事前手続き | 必要なし | 申請書の提出が必要 |
条件 | ・収支内訳書の作成義務あり | 帳簿の作成 ・仕訳帳 ・総勘定元帳 ・現金出納帳 ・その他 集計表の作成と税務署への提出 ・貸借対照表 ・損益計算書 |
メリット | ・経理処理の面で少し楽 | ・身内への給料額に上限がない ・赤字を繰り越して税額計算できる ・65万円の特別控除を適用できる ・家事関連経費が一部認められる ・青色申告のみに認められ税制がある |
デメリット | ・青色申告のメリットが受けられない ・65万円の特別控除が受けられない ・身内への給料額に上限がある ・赤字の繰越控除を適用できない ・家事関連の経費が認められない ・有利な税制の適用に制限がある | ・白色申告より、少し経理処理が面倒 |
補足説明
確定申告の所得税の計算目安
- 収入 - 必要経費 = 所得
- 所得 - 控除等 = 課税所得
- 課税所得 × 税率 = 納めるべき所得税
※税率は2の課税所得金額が大きいほど高くなります。
青色申告の65万円特別控除
青色申告の場合、課税所得から最大で65万円をマイナスすることが可能なため、節税に期待できます。
※マイナスできるのは、課税所得からで、かつ 黒字の範囲内という点に注意してください。(税金が65万円分かからないという意味ではありません)
青色申告は、身内への給料に上限が無い
個人事業主から身内への給料を専従者給与と言います。白色申告の場合、この金額に上限があり、配偶者だと年86万円、他の身内だと年50万円です。青色申告の場合は、専従者給与の金額に上限が無いため、
※専従者給与は、事前に税務署に申請をしないと経費として認められません。
また、不当に高い給料は、経費として認められないリスクがあります。
青色申告の欠損金繰越控除を利用しての税額計算ができる。
青色申告の場合、赤字の金額を繰り越して、将来の黒字と相殺して税額計算をすることが可能です。
※繰越には期限があり、赤字が生じてから最大3年間です。
青色申告では、家事関連費が一部認められる
通常、個人的支払にあたるような、家賃・光熱費・通信費などのうち、事業にも使用していると証明できる部分について、経費として計上することが認められます。
その他、青色申告のみに認められる税制
代表的なものは、減価償却の特例です。事業で使用する消耗品や備品などで、10万円以上のものは、資産としたうえで、減価償却の処理をすることになります。減価償却とは、資産やモノなどを、利用できる期間で案分して経費にするような形で処理することです。
これに対し、青色申告の場合は、30万円未満までの資産やものについては、支出時に全額を経費として計上することができます。
その他の情報
社会保険関係
個人事業で社会保険の適用事務所に該当しない場合、国民年金および国民健康保険にご自身で加入する必要があります。その負担の目安は下記のとおりです。
- 国民年金 : 月額 16,410円
- 国民健康保険料 : 課税所得の約 7.3%
※健康保険料は、住民税の額を基本として算定されますが、各市区町村で計算方法が異なります。
住宅ローンやカードを組む場合
- 収入の証明として、確定申告書の控えが必要です。
- 給与所得者と比べて、審査が厳しめになる傾向があるようです。
所得税の計算例(白色申告と青色申告の違い)
条件)白色申告、売上500万円、仕入100万円、諸経費150万円の場合
- 所得の計算 500 - 100 - 150 = 250万円
- 課税所得の計算 250 - 38 = 212万円
- 所得税の計算 212 × 5% = 10.6万円
これが青色申告だった場合・・・(さらに前年が30万円の赤字だった場合)
- 所得の計算 500 - 100 - 150 = 250万円
- 課税所得の計算 250 - 38 -65 - 50 = 94万円
- 所得税の計算 94 × 5% = 4.7万円
※上記の計算は分かりやすいように、単純な表示になっております。具体的な金額や税率は、事例によって異なります。
まとめ
個人の確定申告について、なるべく専門用語を少なめに、お話をさせていただきました。この記事で絶対にお伝えしたかったことは・・・
- 青色申告がオススメ
- 事前に必要な手続をおさえる
- 何事も計画と準備が大切
最後に・・・事業の種類や状況によって、やるべきコトや手続きが違ってきます。できれば、税理士に相談するコトをおすすめします。