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テレワークのメリット・デメリットと上手なやり方と使える助成金 その②

テレワークで活用できる助成金や補助金

テレワークのメリットとデメリットについては、その①の記事でお話させていただきましたので、次はテレワークで使える助成金について説明させていただきます。

助成金と補助金その違いとは

最初に助成金と補助金について簡単に解説をしたいと思います。実は受け取る立場から見ると、助成金も補助金も大きな違いはありません条件を満たして、管轄する公共団体などに申請することで、返済不要の給付受けることができます。

ただし、少し性質に違いがあるので、それをおさえておくと、助成金や補助金を検討する際に、『自分が該当するのか』『何が給付の対象になるのか』『何を用意すればいいのか』などを、何となく見えてくることがあります。

助成金

主に厚生労働省が管轄で、『雇用の維持』『人材育成』『労働環境の向上』など、人の雇用に関する支出や投資に対して支給されます。基本的に、公募予算の上限が無く、一定数の申込で締め切られる事が無く、そもそも雇用のために望ましい内容が条件になりやすいという理由で、条件を満たしていれば支給される可能性は高い傾向にあります。

補助金

すべての公共団体などが管轄で、『国が推奨する設備や制度』『政策的に成長させたい分野や業界』『社会的に必要とされるもの』など、企業や社会がより良いものとなることを目的としています。助成金と違い、公募予算に上限があり、一定数の申込で打ち切りとなります。補助金によって難易度は様々ですが、助成金と比べると難易度が高めな傾向にあります。

助成金と補助金をまとめると、下表のイメージなのですが、最近の制度では、助成金と補助金の本来の意味は区別されていないようです。

助成金補助金
管轄主に厚生労働省すべての官公省庁
全体予算基本的に無し有り(予算に達し次第終了)
公募目的雇用維持や人材育成企業成長や社会整備
参考)助成金と補助金の違い

助成金・補助金の申請前に絶対おさえるべきこと

助成金・補助金の上手な使い方は、そもそも支給が無かったとしても、『必要なもの』や『価値がある支出』であることを前提にすることです。そのうえで、下記の項目を必ずチェックしてください。

  1. 先に費用を使ってはいけない
  2. 本当に申請する必要があるのか冷静になる
  3. 助成金・補助金の内容を把握して損得を検討する
  4. 条件を満たすことが可能か
  5. 申請しても、支給されないリスクがある。
  6. 申請によって、必ず縛りを受ける。
  7. 自分で申請できる内容か、信用できる専門家に相談すべきか

1.先に費用を使ってはいけない

ほとんどの助成金や補助金は、申請して許可された後の支出に対してしか、支給されません。何かを購入または導入しようと思ったら、まずは該当する助成金や補助金が無いかを調べるようにしましょう。先に契約や支出をしてしまうと、支給されない可能性が大になります。何度も言いますが、後付け申請はほぼ不可です。

2.本当に申請する必要があるのか冷静になる

助成金や補助金の目的は、支給を受けることではありません。『必要な設備』『仕事環境の向上』『価値あるモノ』『有能な人材』などを手に入れることです。助成金や補助金を活用して手に入れたモノでも、最終的に使わなかったり、導入した意味がなかったという結果になると、時間と労力とお金のムダになってしまいます。もし助成金が無かったとしても、必要なものかどうかを検討するようにしてください。

3.助成金・補助金の内容を把握して損得を検討する

助成金や補助金は、その募集によって内容が異なりますので、下記の項目を必ずチェックしてください。

  • 申請できる期限
  • 助成率(自分が負担することになる金額)
  • 何が支給対象になっていて、自分にとって必要なモノなのか。
  • 申請条件および難易度

最後に、とても重要なことがあります。それは、助成金や補助金を活用して取得したモノや設備などが、どれだけ役に立つのかです。できれば、活用当初から3年程度の『経費削減』『労働負担軽減』『導入の効果』などを踏まえた計画を検討するようにしてください。

4.条件を満たすことが可能か

助成金や補助金の申請には必ず条件があります。申請する前に、『自分が該当するのか』『条件は守れるのか』といった視点で、募集要項などを確認するようにしてください。申請は手間がかかり面倒な場合も多いので、手続を進めてから壁にぶつかったり、最悪断念することになると、時間と労力のムダになってしまいます。

5.申請しても、支給されないリスクがある。

助成金や補助金には支給条件があり、これを審査して許可をするのは、募集する公共団体などです。自分にとっては条件を満たすと考えていても、他の立場から見ると条件を満たさないと判断される場合もあります。他にも、申請に重大な不備や誤りがあり支給不可となる場合など、支給されない可能性があることは、リスクは認識しておくべきです

6.申請によって、必ず縛りを受ける。

申請の条件の中には、下記のような縛りを受ける事もあります。

  • 導入した設備の活用に縛りがあり、導入後一定期間、その状況報告の提出義務がある場合。
  • 助成金の対象となった人の勤務形態や継続雇用に縛りがある場合。
  • 導入した設備を売却したり、取り組みを途中でやめる場合に、支給された給付金を返還を求められるリスクがある。
  • 不正受給とみなされた場合、給付金の返還に加えて、罰金のリスクがある。

7.自分で申請できる内容か、信用できる専門家に相談すべきか。

助成金や補助金の申請は、提出書類が多かったり、条件が細かかったりします。その手間と負担を考えると、外部に依頼する方が良い場合が多いです。もう一つ、専門に依頼するメリットとして、申請がスムーズになりOKがでやすいという点が挙げられます。

補助金や助成金の申請代行などの手数料は割高な場合が多いです。自分で完結できる補助金・助成金もありますので、募集要項などを確認して検討することをお勧めします。時間と手間はかかりますが、より自分にあった活用方法がみつかる場合があるからです。

もし代行会社やコンサルティング会社に依頼をする場合は、下記の項目を確認してみると良いと思います。

  • 顧問税理がいる場合は、相談してみる。
  • 顧問社労士がいる場合は、相談してみる。
  • 社内で依頼または相談できる人がいるか
  • 依頼する専門家は、必要な経験や知識が豊富なのか。
  • 信用できる専門家なのか

まとめ

補助金や助成金を活用する前に、知っておきたい内容をお伝えしました。次の記事では、現在使える助成金・補助金とその要点を紹介する予定です。

このブログ内で投稿予定の関連記事

参考)助成金や補助金の失敗例

補助金に該当する設備があったため購入したが、その後に補助金の申請をしたところ、補助金申請の許可がおりる前に購入した設備は対象にならず、全額自己負担になってしまった。

補助金を活用してシステムを導入したが、そのシステムを利用することはなかった。補助金で初期費用の実質負担は無かったが、システムの維持契約に縛りがあり解約ができず、使わないシステムの維持費を払い続けることになった。

助成金目的で数人採用したが、過剰人員となって、遊ばせている従業員への給与負担が大きく、受け取った助成金以上の無駄な出費となった。さらに、雇用した人の給与下げたり、会社都合で解雇することのハードルが高く、逃れられない出費に苦しみ続けることになった。

助成金や補助金を活用した後に、報告義務がある場合に、その報告書類作成が大きな事務負担となってしまう。また、辞めようにも助成金の返還リスクがあり、一旦停止したり辞めたりといった選択ができない。

補助金を受けるより、別の方法が有利な場合もあります。例えば、下記の①②③のパターンでは、補助金なしの②③の方が結果的に有利です。

  1. 100万円の設備を、補助率50%の補助金を利用して導入する場合、自己負担は50万円になります。ただしこの設備を利用するには、補助金対象にならない80万円のシステムを購入する必要がある場合は、トータルで130万円の出費となります。
  2. 上記と同条件で、100万円の設備と80万円のシステムをセット価格で、4割引きで販売してくれる業者から購入すると、トータル出費は108万円になります。
  3. 同じ働きをするシステムが組み込まれた150万円の設備を、交渉して3割引きで購入できる場合、トータル出費は105万円になります。

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