税務調査ってなに?もしも税務署から連絡がきた場合に知っておきたいことと税務調査の詳細




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会社や個人事業の経営者の方であれば『税務調査』という言葉を耳にしたことがあると思います。巷の噂や都市伝説的レベルの情報でよく聞くのが…

  • 「何百万円も追加の税金を支払うことになった」
  • 「税務署に指導を受けてこってり絞られた」
  • 「国税がきて追徴で大変なことになった」
     などなど…

いずれの情報もあり得る話ではありますが、必ずしもそうなるということではありません。とくに3番目の国税がきて追徴課税という話と税務調査は基本的に別物です。国税局が行うのは『査察調査』と言われるもので、悪質かつ関係する税金が数千万円となるケースなど脱税犯罪に該当するものです。

これに対して『税務調査』とは、会社や個人事業の税務・会計・経理の処理が正しく行われているかを、税務署の調査官がチェックする作業になります。そして…『税務調査』により税務処理の間違いや会計上の誤りが見つかった場合に、本来計算されるべきであった税金を支払うことになります。(間違った計算によって既に納付した税金はマイナスされます)

この記事では『税務調査』のわかりやすい解説と、知っておきたい対処法を伝授します。

この記事の目次

  1. 税務調査とは?間違いだらけの巷の噂と不安を払拭しましょう
  2. それでも甘くみてはいけない!税務調査
  3. 目安がしりたい!税務調査で税金が生じた場合の¥金額¥
  4. 税務調査では何を調査される?
  5. どういう会社に税務調査が入りやすいのか
  6. 税務調査の流れとスケジュール
  7. 目からウロコの税務調査の心構え
  8. 必ず役に立つ!税務調査対策7箇条

税務調査とは?間違いだらけの巷の噂と不安を払拭しましょう

冒頭でも少し触れましたが、『税務調査』で税務署が来たからといって、必ずしも多額の税金を支払うことになるとは限りません。正しく経理していて、税務処理に誤りが無ければ、税金を支払うことなく『税務調査』が終了することもあり得るのです。

『税務調査』に関して巷に流れている情報や噂の多くは、『税務調査』で多額の税金を支払うことになった方の苦い経験に背ひれ尾ひれがついた情報が殆どではないかと思います。

筆者がお伝えしたいのは、税務調査に対して過度なプレッシャーを感じる必要はないということです。日々の経理を正しく行っていれば、余程のうっかりやポカが無い限り、とんでもない税負担が生じる可能性は低いからです。

それでも甘くみてはいけない!税務調査

どんなに優秀な経理であっても、しっかりした会社であっても、ミスや勘違いは少なからず存在するものです。筆者の経験では、税務調査があった場合に誤りを指摘されたケースとして、数万円~数十万円の税金を支払う結果が多い印象です。

参考までに、筆者の顧問先で税務調査があった際の、結末のパターンを紹介します。サンプルとなった顧問先の事業規模は、売上3,000万円~1億円かつ毎年の利益が100万円~1,000万円の法人が殆どです。

パターン税金支払額
300,000円~700,000円
100,000円~300,000円
700,000円~1,500,000円
0円~100,000円
1,500,000円超

ちなみに、上から順に結果として多いパターンに並べてあります。大半は150万円以上となることは無いですが、重大なミスや漏れがあると200万円前後の支払いは覚悟する必要があります。ちなみに、私が担当した中で、あり得ない誤りにより課税された最大額は約700万円です。私自身としても、とても苦い思い出ですが、多額の税金支払いとなったのはその1回だけです。詳細は税務調査の実例として記事を紹介させていただく予定です。

目安が知りたい!税務調査で税金が生じた場合の¥金額¥

もしも税務調査でミスを指摘された場合に、いくら税金を支払うことになるのか?とても気になる内容だと思います。そこで、目安となる計算式を伝授したいと思います。税務調査でミスが発見された場合、ミスに関係する経費が認めれらなくなるパターンが王道です。この経費が認められないことを、税務調査の専門用語で「否認」と言います。その場合に支払うことになる税金の目安を把握する手順は下記のとおりです。

  1. 売上または収入の計上漏れと指摘された合計金額に40%を乗じる
  2. 経費として認められなくなった合計金額に30%を乗じる
  3. 外注費または給与賞与源泉所得税の天引き漏れを指摘された合計金額に10%を乗じる
  4. 消費税の計算上、課税仕入として認められなくなった金額に10%を乗じる
  5. 加算税・延滞税としてこれら1~4の金額の合計に15%を乗じる

上記1~5合計金額が、税務調査で支払うことになる税金の目安になります。税務調査で支払うことになる税金は法人税・消費税・源泉所得税が王道です。

税務調査では何を調査される

税務調査では、かなり細かいことを確認されることになります。とは言っても、日々の経理を正しく行っていれば、そんなに難しい質問や指摘を受けることはありません。ここでは、調査される内容と確認されやすい資料を紹介します。

調査される内容

  • 売上に計上漏れはないか
  • 経費を多めに計上してはいないか
  • お金の流れに怪しいところはないか
  • 売上や経費とするタイミングに問題がないか
  • 取引の中に怪しいものが含まれていないか
  • 会計上の解釈に誤認がないか
  • 税務上の処理に問題がないか

確認されやすい資料

  • 総勘定元帳
  • 取引を証明する請求書および領収書
  • 源泉徴収簿
  • 扶養控除申告書
  • 消費税の計算のもととなった科目別集計表
  • 決算書(特に勘定科目内訳書)
  • 株主総会の議決を前提とする内容に関する株主総会議事録
  • 一定金額以上または長期間の契約を前提とする取引の契約書

この記事では伝えきれない内容がたくさんあるので、より実践的な内容は別の機会に紹介させていただきます。

どういう会社に税務調査が入りやすいのか

税務調査の対象になりやすい会社には傾向があります。以下のチェックリストで該当項目が多いほど税務調査の連絡が来る可能性が高いと言えます。まずは、お手元に直近3期分の決算書を用意してチェックしてみてください。

  • 年間売上高が3,000万円以上
  • 直前期の当期純利益が100万円以上
  • 前回の税務調査から4年以上経過
  • 次の項目の中に、直近3期の決算を通して大きく変動したものがある
    粗利率、外注費、売上高、売掛金、現金、買掛金、交際費、雑費、など
  • 直近3期の決算で、特別損失または特別利益で100万円以上の計上がある
  • 取引先や従業員の入れ替えが頻繁にあり、トラブルになったケースがある。
  • 決算書の貸借対照表に、長期的に動きがない又は不透明なものがある。
  • 顧問税理士がおらず、自己作成して申告している場合。

反対に該当項目が無い場合は、税務調査のリスクは格段に低いと考えることができます。ただし、該当しないのにも関わらず税務調査の連絡が来た場合は、税務署が何かしらのネタをつかんでいる恐れも考えられます。その場合は慎重に対応するようにしましょう。

税務調査の流れとスケジュール

税務調査のスケジュールは、おおむね下記の形になる事が多いです。調査の連絡から終了するまでは2か月~3か月程度かかります。とは言っても、実際に税務署の対応に費やす時間の合計は1週間も無いことが多いと思います。

  1. 税務署から税務調査を実施したい旨の連絡が入る
  2. 税務調査の日程を調整して実施日が確定する
  3. 税務署が会社の事務所に訪問して対面形式で税務調査を実施する
    基本的に午前10時~午後4時まで(昼休憩1時間)の2日間
  4. 対面で生じた疑問点や税務署が持ち帰った資料に関する質疑応答を電話で行う
  5. 今回の税務調査での修正の必要の有無が確定する
  6. 訂正の必要が生じた場合は修正申告を行い、その内容にそった税金を支払う。
    訂正の必要が無い場合は、手続き不要。
  7. 税務署から完了の通知が届く

※1の事前連絡もなく、調査官が事務所を突然訪問して税務調査が始まる場合もあります。
※3の対面での調査は、1日で終了する場合もあります。稀に1~2日追加になることもあります。

目からウロコの税務調査の心構え

税務調査の連絡がくると、不安で眠れなくなる経営者の方も多いと思います。まずは、落ち着きましょう。税務調査が来るからと言って、税務署に疑われているわけではありません!何か後ろめたい事が無い限り、堂々と対応すれば問題ありません。また、税務調査への協力は事業者の義務ではありますが、本業に優先してまで対応する必要はありません。調査の途中であっても、はずせない仕事が入った場合は、調査官にその旨を説明したうえで、そちらを優先するようにしてください。

税務調査の調査官の使命は、会社の誤りをみつけて追加で課税することなのですが、かといって敵視する必要はありません。相手も人間なので、感情的になって収集がつかないくらい面倒な調査になってしまうリスクがあるからです。大きな声では言えませんが…税務調査の真の極意は、協力的な姿勢を見せつつ、聞かれたことにだけ慎重に対応することです!

必ず役に立つ!究極の税務調査対策9箇条

税務調査の際に注意すべきは、実際には正しい処理をしているのに誤りと判断されたり、単なるミスに対して悪意があったものとして解釈されてしまうことです。例えば、金額に間違いのある資料を提出してしまった場合、それが間違った資料であったことを説明するという無駄手間が生じることになります。最終的に間違いを訂正できなければ、たとえ無実であっても誤りとして不利な指導を受けることもあり得るのです。そうならないためにも、次の内容を気に掛けるようにしてください。

  1. 証拠資料などを求められた場合は、内容が合っているか確認してから提出する。
  2. あいまいな回答はせずに、後から確認してから回答するようにする。
  3. 無関係な会話であろうと、自ら進んで余計な情報提供をするようなことはしない。
  4. もし顧問税理士がいない場合は、対応してもらえる税理士に依頼することをオススメ。
  5. 事前連絡も無く、調査官が突然訪問してきた場合は、業務を優先してお引き取り頂きましょう。
    税務調査への協力は事業者の義務ですが、礼を欠く行為や仕事の邪魔となる行為には対応する必要はありません。
  6. 理由もなく税務調査の調査官に敵対するような言動は絶対にやめましょう。
  7. 調査官に指摘されたからといって、間違いが確定するわけではありません!ご自身が正しいと判断した内容を指摘された場合には、諦めずに反論しましょう。
  8. 誤って売上を大きく計上していた場合や経費の計上漏れが見つかった場合、それも認めてもらいましょう。税金が戻るケースもあり得ます。
  9. ときには、司法取引のような駆け引きで無難に完結できる場合もあるので見極めと引き際も肝心。

まとめ

税務調査の連絡がくると、経営者は不安になるものです。繰り返しになりますが、過度に警戒したり不安に感じる必要はありません。正しく経理処理していれば、大きな税金支払いとなることはありません。もしも、誤りを指摘されて税金を支払うことになったとしても、過去に支払うべきだった税金を遅れて支払うことになるだけで損をするわけではありません。※延滞税や加算税は無駄になります

最後のアドバイスですが、税務調査で誤りを指摘されたしとしても諦めずに対応するようにしてください。どのような取引でも解釈がわかれることがあり得るので、誤りをどう訂正するかも解釈次第なのです。つまり対応次第で、支払う税金が大きく変わってくる可能性があるということです。

税務調査に関しては、お伝えしたいことが山ほどあります。機会があれば紹介していく予定です。

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